2012年9月4日火曜日

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【おまけ】
先月は良作を見逃しすぎたのでおまけ多め。そうでなくても7月は紹介量が多かったので豊作だったということですね。R&B多めです。


【宣伝】
ドレイクから派生したアンビエントR&Bからディープなアンビエント世界をドップリ紹介している「クロスオーバーするアンビエント・ワールド」その1、その2、その3公開しています。お暇な時にどうぞ!その4も間もなく公開致します。見捨てないで><

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その1

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その2

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その3

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その4


Radioheadの話で少し出てきたのがこの彼、Aphex Twin(エイフェックス・ツイン)ことRichard David James(リチャード・D・ジェームス)
90年代に登場してテクノ界に大革新をもたらした超大物である。一般的にテクノというと"踊れるクラブミュージック"を想像すると思うのだが彼の音楽はおおよそそういったイメージとは遠いところにある。何せまず踊れない。冷たく乾いた音像と、時に悪意に満ちあふれた凶暴性を露呈させる音楽性は、ポップな音とは言いがたい。"come to daddy"や"Rubber Johnny"のPVなんて非常に気持ち悪い。常軌を逸しているとしか思えない。加えて人を食ったようなCDのジャケであったり個人で戦車を所有していたりと大変な奇人。加えて、テクノと言っても作曲するジャンルは非常に幅広く、テクノからアンビエント、エレクトロニカ、ドラムンベース、アシッドハウスまで多彩にこなす天才。ドリンルンベースなる言葉を作ったのも彼。そんな変態(天才)はなんと1992年に21歳という若さで現在も語り継がれる『Selected Ambient Works 85-92』という名盤でデビューする。(1994年には『Selected Ambient Works Volume II』という続編アルバムもリリースしている。ちなみに、12歳頃から作りためていたトラックを収録しているという逸話もあり。)トム・ヨークはこれから影響されたと言ってよい。名曲『Xtal』に多くのスポットライトが当たるがアルバム全体通してすべての音楽リスナーが聴くべき傑作であり、後世に語り継がれるアンビエント・テクノ大名盤。








このおじいさん誰?って方もいると思うが坂本龍一、高橋幸宏らとの組み、70年代後半に"ライディーン"で一斉を風靡したYMOのリーダー、細野晴臣。元々多作の人で有名かもしれないがエイフェックス・ツインとほぼ同時期にここ日本でも良質なアンビエントなテクノ・ミュージックを作っていたのが彼。当時のアイドルのプロデュースなどにも関わっていたりソロ活動でも多作な人なのだが、YMO解散後は大量消費に頼らない音楽を模索した後、1980年代後期にはワールド・ミュージック、90年代にはこのテクノ不毛時代に淡々とディープなアンビエント・テクノを作り続けた。と言っても私自身、もちろん後追い世代な訳で細野さんのアルバムをすべて持っている訳ではないが、このようなアンビエント・テクノにハマっていた時期もあったので特に90年代のアルバムには思い入れがある。持っている中でアルバム単位でお気に入りというと93年作『Medicine Compilation』と95年作、ゴウ・ホトダ、ビル・ラズウェル、寺田康彦との共作『N.D.E』は特に気に入っている。他にも95年作『NAGA』やHAT名義(Haruomi Hosono, Atom Heart, Tetsu Inoue)の2枚(96年作『Tokyo-Frankfurt-New York』、98年作『DSP Holiday』)などももちろん秀逸な作品だ。











アンビエントR&Bなどの話からエレクトロニカ、テクノの話に流れてきたのだが結果的に言うとアンビエント・ミュージックとは環境音楽のことだ。その3でも"音自体が主役にならずにその場の環境の一部になる"というキーワードがでてきたが、ちゃんとした定義はまちまちなので個人である程度好き勝手に決めても良いと思う。
一般的には音楽のそれ自体に主張があまりないもの、もしくは控えめなもの(例えばリズムがない、もしくは控えめなもの。ヴォーカルなし。など。)であったりする。
実験的な音楽において、「巨匠」と呼ぶにふさわしい地位を築いているのがブライアン・イーノ。「アンビエント・ミュージック」のパイオニアであり、デヴィッド・ボウイ、U2などのアルバムプロデュースや、近年ではデヴィッド・バーンとのコラボーレションアルバムなど様々なアーティストとの盛んな交流も見られるアーティストだ。
何せ1975年には事実上のアンビエント・ミュージックの第一作 Discreet Musicをリリースしている。その後はタイトルにはっきりとAmbientと記載されているAmbient 1: Music for Airportsというアルバムを1978年にリリースしている。(同年にリリースされたMusic for Filmsもしかり)このタイトルは比喩などでは全くなくて本当に空港で流すのに適している音楽ということで実際にニューヨークのラガーディア空港などで使用されているようだ。
環境音楽は大きく分けて音自体を意識しなくてもよい特徴があり、"ながら音楽"には最適である。また逆に自ら意識して音の深みを味わい、アンビエントの深海に潜ることも出来るので個人的には私生活で重宝している。
また、21世紀初となるアンビエント・アルバム『LUX』が今年の11月7日に発売予定であり、世界中のイーノファンには朗報である。
http://www.cdjournal.com/main/news/brian-eno/47351#disc






2012年9月1日土曜日

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その3

さて前回までアンビエントR&Bの話が長くなってしまったが今回こそは純粋なアンビエントに近い作品を紹介していこうと思う。
と、その前に非常に面白いものがあるので一つそれに触れてから。


2007年にヤマハの開発した音声合成システム『VOCALOID2』を採用した女声の歌声を合成するMicrosoft Windows専用のソフトウェア製品として発売され、声に歌い手としての身体を与えることでより声にリアリティを増すという観点からソフトウェア自体をバーチャルアイドル(バーチャルシンガー)と見立ててキャラクター付けしており、初音ミクは「未来的なアイドル」をコンセプトとしてキャラクター付けされている。名前の由来は、未来から初めての音がやって来るという意味で、「初めての音」から「初音」、「未来」から「ミク」。
初音ミク
年齢:16歳
身長:158cm
体重:42kg   via wikipedia

浅はかな知識でこの話題に触れることにビクビクしているのだが、ようは表情付けができる音声ライブラリーを駆使したDTMソフトだ。さらにそれぞれ表情付けの異なる追加音声「Sweet」(フレンチポップ、バラード、エレクトロニカ等)、「Dark」(バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等)、「Soft」(ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等)、「Light」(ポップス、ロック、ダンス、テクノポップ等)、「Vivid」(ポップス、テクノポップ、トラッド等)、「Solid」(ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等)の6つのライブラリが追加で提供され、元々のアイドルポップス / ダンス系ポップスのものと合わせて現在7つになっている。それによって派生したミクビエントというものが思いのほか良かったので驚いた。もちろんプロが作った曲が有名であることは当たり前だが誰でも気軽に作れ、素人の作った曲がカラオケに入っていたりするので全く無視できない存在である。加えて言うと初音ミク以外にもキャラクターはいるみたいだがもうさすがにわからない。










アメリカのエレクトロ・ポップデュオ、Postal Service(ポスタル・サービス)
完成度の高い「エレクトロ+美メロ」を奏でる。
USネオギターポップバンドDeath Cab for CutieのBen Gibbardと、DntelことJimmy Tamborelloによるユニット。
互いのアイデアやサウンドを、ポスタル・サービス(郵便)を介して交換したことから、このバンド名が名づけられた。ちなみに紛らわしい為か、US郵政公社よりユニット名の使用停止命令を受けているらしい。2003年にサブ・ポップからリリースされた1stアルバム『Give Up』はロングセールスを続け、サブ・ポップではニルヴァーナの『ブリーチ』以来となるヒット作となったようだがそれも納得。『Give Up』は秀逸な作品だった。EPは数枚出したがアルバムは1枚きりでその後はどうなったのかはよくわからないグループだ。(今回の議題の中でけっこう関係ないアーティストを放り込んだかもしれない)







カナダのトロント出身、在住の中国系カナダ人であるShaw-Han Liem(ショウハン・リーム )による一人プロジェクトである、I am Robot and Proud(アイ・アム・ロボット・アンド・プラウド)
2001年にデビューし、今まで4枚のアルバムをと1枚のRemixアルバムを出す(あとBandcamp内に2枚のEP)が3rdアルバム『The Electricity in Your House Wants to Sing』から特に注目を浴びるようになる。電子音に暖かみを持たせた上質なエレクトロニカを鳴らし、音自体が主役となるアルバムではなく、あくまで日常生活のBGMとして欠かせない(今回の肝はここにある)脇役的名盤。Postal Serviceもそうだが一般的にアンビエントというものはもう少しビートやメロディが強調されていないものだったりするのだがなぜこのようなアーティストに触れたか言うと先ほども言った"音自体が主役にならずにその場の環境の一部になる"ということ。詳しくは後に触れていこう。さらに言うと彼の音楽はアンビエントR&Bで述べた背徳的であったり、耽美な世界観であったり、陰鬱な内面を映し出していたりということが微塵もない。アンビエントもののその辺の変化も面白いだろう。私自身、3rdアルバムと4thアルバムの『Uphill City』しか持っていないがどちらも環境になじむ素晴らしいエレクトロニカとして推したい。









最近日本でもちょこちょこネット上などで名前を聞くようになった、Tetsuya Nakamura( piano,guitar,synth & programming )とAfull Kobayashi( piano,synth & vocal )によるアンビエント・エレクトロニカ・ユニット、Arc of Doves(アーク・オブ・ドーブス)

2001年、東京にて活動を始めるが、2007年頃までは表立った活動はなく、自主制作映画のサントラや他の楽曲制作を行うのみだった。同年から本格的に活動を始め、2009年にQuietus Rechordingsから1stアルバム『Impressions』をリリースする。翌年2010年にはKatsuyuki Taguchi氏が主宰する日本の新鋭レーベルのAYから2ndアルバム 『The Lights』をリリースし、その数ヶ月後に新しいメンバーの"Afull"を迎え、イタリアのHouse / ElectronicaレーベルのRohs! Recordsから3rdアルバム『Mille Plateaux』をリリースし、そして今年の3月、BandCampから過去の音源を再ミックスした6曲入りアルバム『Never Let Me Go』をリリースしている。(3曲のみフリーでDLできる)ちなみにArc of Dovesの名前の由来は、Brian EnoとHarold Buddが共作したアルバム"Ambient 2"収録の楽曲"An Arc of Doves"から。
やっと本格的なアンビエント・アーティストだ。先ほど言ったビートやメロディがあまり強調されていなくI am Robot and Proudよりもその場の環境に溶け込む音になっている。核となっているTetsuya Nakamuraは現在33歳にして相当なキャリアもそうだが才能溢れる音作りは圧巻。



Read full review of Impressions - ARC OF DOVES on Boomkat.com ©












"音自体が主役にならずにその場の環境の一部になる"アンビエントものから少し離れてしまうが、今やOASISがいなくなり事実上、世界ナンバー1バンドとしてその名を世界に轟かせている超ビッグバンド、Radiohead(レディオヘッド)
世界的なアーティストで早くにアンビエントに手を出したのは彼らだった。
1992年にメジャーデビューし、1stアルバムから"CREEP"がヒットした。ちなみに近年では全くこの曲は演奏していなかったのだが2003年のサマーソニックにてセットリストになかったCREEPをいきなり演奏し、結果各メディアでトップギグと呼ばれるステージをみせた。
1st以降は2ndではアコースティック調のギターロックで人気を不動のものにする。(このアルバムで次ぎに続くサイケデリック・ロックの鱗片も垣間見える)そして多くの人がバンドの名盤としてだけではなく、90年代の金字塔として大きく評価されているのが3rdアルバム『OK Computer』。多くのアーティストにカバーされている曲が最も多いのがこのアルバムからではないだろうか。Brad Mehldau(ブラッド・メルドー)によるParanoid Androidのカバーが一番のお気に入りだ。
さて実はここからが本題。彼らはこれほどまでの世界中の評価を得てビッグバンドになったのだが、それまでに評価されていたサウンドをいとも簡単にすべて捨てた。
「商業的自殺」とも言われていたがメディアと一部のファンを大きく裏切り、これすらも成功させる。当時ポップミュージックの分野ではほぼ手つかずのジャンルであったエレクトロニカとバンドサウンドの融合を成し遂げ、素晴らしいアルバム『KID A』を作ったのだ。ちなみに個人的にRadioheadで一番好きなアルバムが『KID A』だ。エイフェックス・ツインからの影響ともとれるアンビエントなエレクトロニカを取り入れ、寂しいほどに冷めていながらも有機的なサウンドを鳴らすこのアルバムに心酔しないわけがなかった。






信じられない。。まだつづく。
次で最後にします。

2012年8月29日水曜日

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その2


上記の写真は左上;Ango  右上;JMSN   左下;Jhene Aiko   右下;Nylo
どれもお気に入りのアンビエントR&Bシンガー。過去にこちらやこちらで少し紹介しているのでよかったら。


ご存知の方が多いと思うが、R.Kellyが1stアルバムをプロデュースし、その後も関係があったとされ、後にTimbalandとコンビを組み、90年代に大活躍したR&BシンガーAaliyah(アリーヤ)。2001年サード・アルバム『アリーヤ』が発表され、映画『マトリックス』の出演も決定するなど、人気が絶頂に達していた同年8月25日、『Rock The Boat』のPV撮影を終え、バハマ北部にあるマーシュハーバー空港から搭乗したフロリダへ向かうセスナが離陸直後墜落、死去した。享年22歳。

現在のアンビエントR&Bの流れの元、というか話の落し先をAaliyah(アリーヤ)に持ってきたsummerbreeze1さんはもちろんさすがだし、物議を醸したドレイクとのコラボや先日の11周忌も重なりちょうど良い。
”シンセやリヴァーブの神秘的な音色を通して、彼岸と此岸をつなぎ、彼女を蘇らせようとする試みなのかもしれない。”
素晴らしい考察。まさにそうだと思う。
アンビエントR&Bの決定版とも言える素晴らしいドレイクとのコラボ曲と命日にちなんで数々のRemixが発表されているのでここで少し紹介。Aaliyah ft.Drake "Enough Said" の歌詞対訳はこちら
ご冥福をお祈り致します。

















もう少しだけアンビエントR&Bの話をしてR&Bではなくアンビエント側の話に入っていこうと思う。



ロサンゼルス出身の現在19歳のシンガー、Tinashe
元々アメリカのポップアイドルグループ、The STUNNERSのリードシンガーとして2007年から活躍していたのだが2011年からはソロとしての活動を始める。その後YOUTUBEにてThe Fugeesの"Killing Me Softly"をアカペラでカバーしたり、Lil' Wayneの"How To Love"やRihannaの"We Found Love"をカバーしているメインストリームのど真ん中のアーティストのはずなのだが今年2月に発表したMIXTAPE『In Case We Die』が思いのほかアンビエントな楽曲が中心のMIXTAPEで驚いた。所々メインストリームの風潮を感じさせる部分もあり今後の作品(特に正規盤)は思いっきり変わってしまう可能性もあるがとりあえずもう間もなくリリースされるだろうMIXTAPEから1曲"Stargazing"が公開され、それを聴く限りではさらに艶美なアンビエントR&B作品が期待出来る。MIXTAPE内の曲、"Boss"のREMIXではHoney Cocaineが参加しているものやRyan Hemsworthによるもの(DLリンク有り)もある。日本のChopped & Screwed Remixer、sugarkaneによるRemixも秀逸。













オーストラリア、メルボルン出身の現在22歳(本当か?)のCHET FAKER(チェット・フェイカー)
彼はスモーキー·ロビンソン、アレサ·フランクリン、テンプテーションズなどと言った往年のソウルシンガーから影響を受けていると公言している。そしてこの作品はこれまでとは少し毛色の違うアンビエント作品なのだがそれもそのはず、最近で言うとジェイムス・ブレイクやボン・イヴェールからも影響を受けているシンガーだからだ。(この二人のアーティストはアンビエントを語る上でも必要不可欠な人物だが有名すぎるのでこれも省略。何度も言うが詳しくはこちらで)
歌心のある声と生音を交えた気だるいアンビエントなベッドタイムミュージックを鳴らしている。ド直球なアンビエントR&Bではないが、この二人のアーティストから影響を受けたシンガーのデビューアルバム(EP)『Thinking In Textures』も紹介しておく。





現在はロサンゼルスを拠点に活動するアリゾナ州フェニックス出身のCalvin MarkusとTravis Bunnの二人組から成るDead Times
如何せん情報が少なく、これが1st EPなのかわからないが、ダークな世界観を見事に映し出したアンビエントな作品『Dead Times』は秀逸で素晴らしい。最近新曲も公開され、今後の活動も多いに期待できる。








チェット・フェイカー同様、彼もJAMES BLAKEから影響を受けたであろうカナダ出身の18歳、Black Atlass(ブラック・アトラス)ことプロデューサー&ソングライターのAlex Fleming(アレックス・フレミング) 18歳とは思えないソウルフルな歌声と独自のR&B世界、オルタナティブな感覚をミックスしたサウンドは最高にシビれる。Clams CasinoやThe Weekndにも通じるアンビエントな艶美な世界を映し出した1st EP『The Black Atlass EP』は聴いておいて損はないだろう。





ロサンゼルス出身のプロデューサー、NOVELとも関わりがあるジョージア州アトランタ出身のMUZI
2011年7月に1st MIXTAPE『Somnolence』をリリースし、つい先月2nd MIXTAPE『Somnolence Vol. II』をリリースしたR&Bシンガー。歌がうまく、R&BらしいR&Bシンガーだ。メインストリームでいち早くアンビエントな作品を出したTrey Songzに近いかもしれない。加えてアンビエントからダブステップまで自身のものに消化できてしまうクロスオーバーな音楽性を持っている彼はR&B版Airplane Boysと言っても良い。





ニューヨークを拠点に活動するナイジェリア出身のI/O (Ayo Olatunji)
1年前にMIXTAPE『8 Bit Love』でデビューしたプログレッシブR&Bシンガーだ。いきなりプログレッシブR&Bってなんだ?って思う方もいるのではとも思うのだが、いずれこのジャンルにも触れようとは思う。今は軽く触って次に行く。
一口では語れないのだが実験的という意味を持ち、簡単に言うとエレキギターのエモーショナルな超絶プレイが聴かれることが多い。これはプログレッシブ・ロックに多い事例だが、R&B的視点からみると有名なところではMiguelの"...All"などはプログレッシブR&Bだろう。
彼のヴォーカルにリヴァーブを効かせプログレッシブな(実験的な)サウンドを施した素晴らしいMIXTAPE『Isolation』は今回のアンビエントR&Bにも通じるものもあったのでここで紹介しておく。"Wasted My Time"やMIXTAPEには入っていないが最近出した新曲、"You slay me"など絶品。






R&Bの話が長くなった。次こそは。。。
つづく

2012年8月27日月曜日

クロスオーバーするアンビエント・ワールド その1



さて昨今のHip Hop、R&B界に新しい風が吹き込まれた。いや、歌の要素が入っている場合がほとんどなので正確にはR&B界のみかもしれない。その立役者となったのがご存知、カナダ出身のDRAKEだ。(写真左)
彼は元々子役から活躍している役者だったのだが2009年に出したMIXTAPE『So Far Gone』が彼の人生を大きく変える。



Cash Moneyとも契約して、ここまでメジャーになったアーティストに触れても当たり前のように知っていてつまらないかも知れないが一応。ラップもするし歌いもするアーティストなのだが、このようなアーティストはローリン・ヒルなどもいたし別に珍しくはない。しかし彼は浮遊感のあるシンセを多用したアンビエントな雰囲気を持たせたトラックを多く使用し艶美な世界を映し出し爆発的な人気を博した。結果、この後公式アルバムを『Thank Me Later』,『TAKE CARE』と2枚出すがどれも高い評価を得ている。


ここでもう一組のキーパーソンがDRAKEとも2ndアルバム『TAKE CARE』で共演を果たした、同じカナダ出身のThe Weekndだ。(一番上の写真右)
彼らはR&Bバンドという珍しい形態で人気を博したが未だに正規盤は出ていない。
MIXTAPEのみでここまで人気が出て大型フェスなどからもオファーがくることは今ではそこまで珍しくなくなったがこういう動きは逐一チェックしておいた方が良い。
アンビエントR&Bがどういうものなのかと問われたら現行シーンでは彼らのことを指している。
決まった形などはないが、浮遊感を持たせたシンセにリヴァーブを効かせたボーカルワークを用いたものが簡単に言うと(簡単すぎ)アンビエントR&Bというものだ。
彼らのデビューMIXTAPEと3枚目のMIXTAPEを載せておく。(ちなみに2枚目はこちら)





と、ここまで書いたが以前にsummerbreeze1さんがアンビエントR&Bについて素晴らしい記事を書いているのでこちらを見た方がよっぽどためになる。
カニエ・ウェスト『808s & Heartbreak』がルーツだということは気づかなかった。
たしかにそうだ。アンビエントR&Bの出す雰囲気といえば背徳的であったり、耽美な世界観であったり、陰鬱な内面を映し出していたりという作品が多い。
そう思うと当時のカニエは母親が亡くなり、恋人に振られ、ラップを放棄しすべて「歌」によって一つのアルバムを作ってしまったが、ここまで挙げた要素がすべて含まれている。

書きかけのブログがここまで素晴らしい記事を書く方と被ってしまった時の絶望感はすごかった。思わず一度消してしまったがもう一度なるべくsummerbreeze1さんと被らないように書いていこうと思う。



HIP HOP方面から二組のアーティストを取り上げてみる。
これまたカナダからThe Airplane Boys(写真左)とカリフォルニアの4人組グループ、The Pack(ザ・パック)のメンバーであるYoung L(写真右)だ。



Beck MotleyとBon Boyageから成るカナダのMCデュオThe Airplane BoysはTHE WEEKNDを手がけるプロデューサーIllangeloがプロデュースを担当したことでも話題だった。彼らはロック方面からのサンプリングネタも面白いし、ダークで浮遊感漂うアンビエントな雰囲気を持ったサウンドからダブステップ、4つ打ちまで自身のものに消化出来てしまうクロスオーバーな音楽性の持ち主。今年の2月にリリースしたMIXTAPE『Alignment』が個人的な上半期ナンバー1に輝くほど素晴らしい作品なのだがここでは一応アンビエントなものをご紹介。(ちなみに前作Where've You Beenはこちら)






LIL Bも在籍していたTHE PACKからYOUNG Lのソロ作。THE PACK時代からすべてのトラックを彼が手がけていたのだがゲームの電子音を使用したものからアンビエントものまで振り幅は広い。そんな彼の5月にリリースしたMIXTAPE『Enigma Theory』はThe Airplane Boysよりもアンビエント色が強い。浮遊感のあるシンセの上で歌っていたり、ダークな雰囲気を醸し出し変幻自在のフロウを魅せる。
さらに面白いことに女性フォークシンガー、バンド(ブルックリン出身のSea of Beesとメリーランド州バルチモア出身の二人組、Wye Oak)をも客演に招いた曲"Automated Oceans ft. Sea of Bees"や"I Can Show You ft. Wye Oak"でも見事にアンビエントなHip Hopに消化している。(さすがに少しフォーク色はあるが)
彼自身の曲ももちろんそうだが素晴らしい二組のアーティストの楽曲も紹介しておく。(客演にMr Hudsonもいるが彼はKanye West率いるG.O.O.D Musicの一員としてカニエはもちろんJay-Zなどの大物ラッパーの作品に客演されていたりとHip Hopファンからはかなり有名なので省略)
ちなみに同じグループのLil' Bは多作で有名だが今年の2月に出したMIXTAPE『Gods Father』も素晴らしかった。










さてここからアンビエントR&Bに話題を移す。
アンビエント界隈(こんなものあるのか)のファンから最も待たれているのがブルックリン出身のTom Krellによるソロ・プロジェクト、How To Dress Wellの新作『Total Loss』だろう。
昨年はオーケストラをフィーチャーした実験的サウンドなEP『Just Once』をリリースした彼だが新作から1曲、フリーダウンロードでリリースしたりJanet Jacksonのカバー曲をフリーで出したり(これは新作収録予定なのか?)秋にリリース予定の新作に向けて活動が活発になってきた。どちらも素晴らしいファルセットヴォイスにアンビエントR&B直系のリバーブを効かせたヴォーカル、美しいストリングスなど、かなり新作が期待出来る内容になっている。










男女2人からなるスウェーデンのエレクトロ・ポップ・デュオ jj(ジェイジェイ)
最近では6月に5曲入りフリーEP『High Summer』をリリースし、そちらも話題になったがエレクトロ・ポップ・デュオなだけに2009年のデビュー時はAIR FRANCE×TOUGH ALLIANCEなどと紹介されていたようでインディーロック感をかすかに漂わせつつキラキラポップなエレクトロサウンドを1stでは鳴らされている。さらにデビュー時から面白いことにLil' WayneやDr Dreのカバーも披露し、ブラックミュージックファンからも話題を呼んだ。最近の方がアンビエント色は強いがどれもアンビエントに通じる素晴らしい楽曲を聴かせてくれる。



もちろん先ほど言ったフリーEP『High Summer』収録の"High Summer"も素晴らしいアンビエントR&Bだがその他にもNe-Yoとコラボするなどブラックミュージックへのアプローチも盛んだ。



アルバム『nº3』から

アルバム『nº4』から





エレクトロつながりでもう一組。マサチューセッツ州ケンブリッジ出身の5人組エレクトロ・ポップバンド、Passion Pit(パッション・ピット)
インディー・レーベルFrenchkiss Recordsより6曲入りEP『Chunk of Change』を2007年にリリースし、本国アメリカでも話題になり、日本でも当時のSnoozer誌で高評価を得ていた。もちろんエレクトロ・ポップバンドなので基本、キラキラポップでハートウォーミングな楽曲がほとんどで jj よりもエレクトロ・ポップ感は強いのだが、ニューアルバム『Gossamer』から"Constant Conversations"はスイートでアンビエントR&Bにも通じる素晴らしい1曲。同曲のSt. LuciaによるRemixも素晴らしかった。








Odd Futureから若き天才シンガー、Frank Ocean(フランク・オーシャン)
デビュー前にも関わらず、ジェイZ&カニエ・ウェストの『Watch The Throne』に参加していたり、ベストアルバムなんてものもMIXTAPEで発表されていたりと何かと話題たっぷりな彼。
そんな彼が満を持してデビューアルバム『Channel Orange』を出したのだが、それが本当に素晴らしい。
今年のベストアルバム候補の1枚であり、"Thinking About You" , "Sweet Life"なんて今回のアンビエントR&Bにも通じる素晴らしい楽曲だろう。
全く話しは変わるがここまで音域が狭いR&Bシンガーでここまで成功している人(彼は一応まだ成功とは言えないから注目かな)で言うとKeith Sweatかなと思った。サウンドはもちろん全く似ていないが歌唱法は似ている。照らし合わせてみるのも面白い。
Frank Oceanについて詳しく知りたい方はこちらやこちらやこちらで書かれているのでここを参考に。





ここでFrank Oceanの大きな陰に隠れてしまっている印象のシンガーを紹介。
現在26歳のオハイオ州シンシナティ出身のMateo(マテオ)
音楽一家に生まれた彼は幼い頃からクラシックピアノを習い、歌っていたらしいが本格的な音楽キャリアは2009年のMick Boogieプレゼンツによる『Underneath The Sky Mixtape Ch. 1』から。のちにアリシアと長年コンビを組んでいたKrucial Brothersのレーベルに移りデビュー曲『Say It So』でデビューする。(Additional VocalにAlicia KeysとSwizz Beatz.も参加している。)一つまえのMIXTAPE『Love & Stadiums』でLil' WayneのカバーやEmpire State of Mind part 3なども披露しているメジャー寄りのシンガーだ。今月に出したMIXTAPE『Suite 823』からはPOPなものもあるがアンビエント色の楽曲もあり、素晴らしいのでここで紹介。"Say You Will" , "Looking You Up " なんて絶品だろう。


Download Mixtape | Free Mixtapes Powered by DatPiff.com

Download
(Love & StadiumsはDatpiffでもなぜかすべての曲はDL出来ないので別リンクを張っておく)


次につづく