Paint It Black: MOMENT 『UP DOWN』発売と帰国

MOMENTの5曲入りEP”UP DOWN”が2012年3月12日にレーベル”rev3.11“からリリースされました。

税込価格525円、オンライン販売限定。

rev3.11™
http://dopetm.com

UP DOWN feat.C.Muligan (pro.TND)
THE GAME feat.MATCH (pro.SAI BEATZ)
Eternity Rock (pro.Lil'諭吉)
Errthing (pro.SAI BEATZ)
Problems (Pro.SUNNY BOY)

この作品、前回のBlogに載せたSNEEEZEの「DEVICE」という素晴らしい作品の後だったため、実は買おうと思ってたんですがそれほど期待してはいませんでした。

しかしそこはrev3.11™!!!
見事にそんな思いを裏切った作品をリリースしてくれました。

UP DOWN feat.C.Muligan (pro.TND)

この曲はEPの発売前に発表されたんですが一発で打ちのめされました。

この曲だけでも買う価値はあると思い買ったのですがふたを開けてみたらそういうわけでもありませんでしたね。

幻想的なメロウなゲーム音と言いますか、機械音バリバリで聴かせるトラックとHookの美しい女性Vocalで一発ノックダウン。

Short ver.ですが映像ともかなりマッチしてるので一緒にどうぞ！

ちなみに私の気に入ったパンチラインはこちら
↓　　　
”Up and down, like elevator ride
今下がるなら休んでもええんちゃう
墜落するものには翼がある
空に向いてまた上がる”

THE GAME feat.MATCH (pro.SAI BEATZ)
この曲はSAI BEATZの才能全開といったDopeな作品！
MATCHを客演に迎えた大阪と沖縄レペゼンな自己紹介的SWAG SHIT!!!

私自身もそうですが

”Shut them modafucking mouths 殺してやれビート
フックアップされても譲るなよ、リード”
↑
このラインに痺れたヘッズも多いようです。（ツイッターでフォロワ―さんとの会話に出てきました）

Errthing (pro.SAI BEATZ)
この曲もPro.SAI BEATZの作品でメランコリックなフワフワした、これもまた幻想的なビートに英語とハングルでラップしてます。

ここまで話せばわかるように彼は日本語と英語とハングルを使ってトリリンガルにラップできる杞憂な存在であることがわかります。
しかもどの言葉を使ってもラップがうまいっ！！！

一聴したかぎりだと最初はVERBALにスタイルが似ているかと思ったのですが聴きこんでいくうちに彼独自の世界観やフロウ、何より21歳の若さでスキルが非常に高く、そんな思いはすぐに払拭されました。

Eternity Rock (pro.Lil'諭吉)
Cherry Brown aka. Lil'諭吉による、多分この5曲の中で一番中毒性の高い作品になっていると思います。
ループされるシンセ、途中で入る重低音バリバリのぶっといベースにやられる一曲。
見事なDrug Music!!!
何も考えずに目をつぶって聴いてると違う世界にぶっ飛んでいけました。
いろんな意味で酔えるビートになっています。

逆に言うとリリックはビートが強調されすぎていてスッと頭には入ってきませんでした。
故にこのビートに社会性のあるリリックをのせていなかったのはさすがでしたね。

Problems (Pro.SUNNY BOY)
何よりこの曲！今までビートの紹介をしてからMOMENT自身のスキルやリリックについて書いてきましたが、この曲は何よりMOMENT自身が輝きに輝いている作品だと思います。
彼にしか書けないことを書いているし、フロウやライミングのスキルにある程度慣れてきたところに最後にこの曲！
リリックの内容も聴き手に非常に様々な考えを起こさせる一曲になっているし、多分リリック重視の曲なので今までよりトラックはシンプルに美しくまとまっています。

私はこの曲の特に3verse目に胸を打たれたのですが、どうせなら一曲まるまる見てみてください。

05.Problems pro. SUNNY BOY

Welcome to my problem
Shit is deeper and darker than Harlem
心臓から吐き出すラップ
Realに話しても限りなく
不安になっちゃう言語
辞書がないと man I can’t flow
トリリンガルじゃなくてセミリンガル
３０分しゃべったらオシになる
英語多めで格好いい？
Fuck that, You mofuckas don’t know it
生々しいを「いきいきしい」
って読むやつがどうやって行け行け？ Shit
心の万里の壁
何年住んでも日本はよう分かんねぇ
辞書からは学べない人
Tell me, 伝われてるこのスピット

※HOOK
Would you ever look into my eyes?
忘れてよ、このラップとヴァース
トリリンガル、super rookie, 外人ラッパー
Spotlightの真ん中
その後ろの問題、問題
ゆうなよ　ドンマイ、ドンマイ
後ろの問題、問題
Will it ever be all right, all right

Welcome to my problem, this one’s bigger
People act tough saying figger on a trigger
Macho man また Macho friend
彼らに熱狂する Macho Fans
なめられる？ I don’t care
どんなStyleまずは尊敬
But I’m not so rough, and I’m not so tough
Gotta deal with red necks and lots of thugs
距離を置いて、I do my shit
でも偏見に引っ張られる足
おでこつくタグは大学生
真剣に聞いてない、about what I say
でっち上げられる My image
Fuck it, that boy’s finished
I LOVE HANDAIを歌った俺のせい？
I don’t know, tell me what you want me to say

※HOOK

Fuck other problems, this one is the biggest
毎日、入隊の日にちを示す
My fucking calendar
ママ　大丈夫ですよ、別に、That’s what I’m tellin’ her
But 誰よりも怖がってる
叫び続く　fuck or goddamn
誰を責める？My father and mother
それとも北朝鮮のMy brothers?
I don’t know, Hairstyle はぼうずに
人と違う人生のコースに
向かう重い足
ラップだけが俺がここに居てた事実の証
後ろに置いとこうと
頑張っても追ってくるパスポート
色は緑、
忘れられる瞬間、Will the time get rid of me？

※HOOK

SNEEEZEのDEVICEの完成度の高さに期待して、このあと出されるMOMENTのUP DOWNも買ってみようと思った方は多くいると思いますが、まさか5曲すべてがここまでクオリティの高い作品だとは誰も思わなかったんじゃないでしょうか。

しかも彼は韓国に国籍があるためこのEPをリリースした日に韓国に徴兵のため帰国しました。
ドラマすぎると思いますがご存じのとおり2年帰ってきません。
しかし本人からもアナウンスされていたとおり客演した曲もかなりでる予定らしく、また休暇にMIXTAPEを作る予定みたいです。
嬉しい限りですね。

何度も言いますがrev3.11™は日本語ラップヘッズなら絶対にチェックしといてください。
もちろん日本語ラップヘッズではなくてもJ-POPしか聴かなくてもR&Bしか聴かなくてもゴリゴリなHIP HOPしか聴かなくてもどこからでも入りやすい作品をこのレーベルはリリースしてくれているし今後もしてくれると思います。

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個人的にはやはりHIP HOPのPOP化が今後は非常に重要になってくると考えていますので、決して昔のスタイルや往年のやり方などを批判はしませんが、それに囚われてしまうとHIP HOP自体がよりUndergroundな音楽になってしまってアーティストの激減、もしかしたら日本語ラップ自体がほぼなくなってしまう可能性もあるので、今の新しいHIP HOP、また新しいアプローチのしかたには大いに期待しています。

今言ったHIP HOPのPOP化に非常に強い力を持っているのはBACHLOGICの主催レーベル「ONE YEAR WAR MUSIC」だと思いますが、それと同時にrev3.11™には大きな期待を寄せています。
(話題のSALUについてはまだ届いていないので後のBLOGで触れようと思います。)

おまけじゃないですがまだアップされているMOMENTの音源があるので参考までに聴いてみてください。

MOMENT-Still I stand(Live at Unight 111216)